私がニューヨークで学生をしていたときのことです。 現地で大変お世話になっていたあるエグゼクテイブの方がこのような話をしてくださいました。
「ある大企業で次期社長を選ぶことになりました。 候補は二人。
両方とも、膏晴らしい経鹿と人間性を持っています。 さて、どちらが選ばれたでしょう?」その問いかけに、当時の私は「なんて難しい人選だろう」と頭をひねってしまいました。
「まあ、貴女の思う通りに単純に言ってごらん」と言われ、私が答えたのは「(見かけが)社長っぽい人でしょうか?」でした。 「その通り社長っぽい人が選ばれたんですよ」その方は、そう教えてくださいました。
そうです。 中身が充実している人であればあるほど、それにふさわしいイメージ(外見)が必要とされるのです。
イメージのいい人は、得をします。 いいことを行えば「やはりあの方は素晴らしい」と評価されます。
逆に、万が一トラブルがあったとしても「きっと今日は調子が悪かったんだろう」と猶予をもらえるだけでなく、再度のチャンスを与えられたり、理解を示してもらえます。 これに対して、イメージが良くない人は、良いことを行ってもそこそこの評価のみ。

少しでもトラブルがあろうものなら「やっぱり、ダメだと思ってたんだ」と、すべてがネガティブに受け取られてしまい、チャンスは二度与えられません。 同じように素晴らしい内面と能力があるのであれば、よりよい印象を相手に与えられる人の方がチャンスは増え、ひいては成功への道がどんどん開けるのです。
欧米では、こうしたイメージを演出する専門家として「イメージコンサルタント」と呼ばれる職業があります。 まだ日本ではあまりメージャーではありませんが、職業や社会的地位、個性をより効果的にアピールするための装いや振る舞いをアドバイスする仕事です。
なぜそのような専門家が必要とされているかというと、成功のチャンスを逃さないためです。 競争の激しいビジネスの世界では、チャンスを引き寄せ、それをモノにできるかどうかがすべてです。
素晴らしい才能を持っていても、結果を出せないものは去るしかありません。 だらしがない服装でいれば、そのような仕事をする人間だと即座に判断されて、チャンスを失うーそうした事実を知っているからこそ、欧米のエグゼクテイブ達は、装いに気を遣い、専門家のコンサルティングを受けているのです。
今はまだエグゼクティブではない若手ピジネスパーソンも、いつ何時訪れるかわからないチャンスを逃さないために、服装に気を配っています。 弁えのある装いができることは、「場を冷静に判断できる」というエグゼクテイブに不可欠な素質を持っているとして、抜擢や引き抜きの対象になりやすいからです。
ビジネスにおける装いは、お酒落とか、気取っているとかではなく、サバイバルのための大切な戦略なのです。 私も、イメージコンサルタントの本場であり、ビジネスの中心でもある米国ニューヨークで学び、プロとして一O年以上に渡りこのイメージコンサルティングの仕事をしてきました。
主に企業ノートップエグゼクティブや、講演をなさったりメディアに登場されるなど、不特定多数の人に会われたり、見られたりする方に対して、企業イメージやそノートき発信したいメツセ1ジ、その方の個性をわかりやすく表現するための服装やポスチャ、グルミングなどを、総合的にコンサルティングし、的やTPOに合わせたイメージ戦略ややフランデイングについてアドパイスしてきました。 本書は、この様な私のイメージコンサルタントとしての知識と経験に基づいた、ビジネスシーンでの自己演出に不可欠なテクニックを説明した本です。
専門家のテクニックといっても、難しいことではありません。 「まず最初にこれを試していただきたい」という事柄を、簡単に実践していただけるように解説しました。
装いのテクニックはセンスの問題と捉えられがちですが、ビジネスシーンの装いにおいては、センスよりルールが大切です。 要は「まずは基本を知り、忠実に守る」ということ。

それを自分のものにする(身に付ける)だけで、十分な効果が得られます。 ニュースなどで海外の要人の装いを見ても、非常にクラシカルでベーシックなスタイルですね。
「国際社会に通用する基本」というのは、あくまでシーンプルなものなのです。 しかし、基本的なことだからといって、侮ってはいけません。
実際、私が仕事でお会いする方の中にも、その基本ができていない方が意外と多くいらっしゃるのです。 装いにお金をかけているのにも関わらず、スーツの色や素材感、形を選び間違えて、損をしている方がたくさんいらっしゃいます。
あなたは、自分の肌に合うスーツの色を知っていますか?(一口に「濃紺」といっても色々あります)スーツを買うとき、体型にあったお直しをしていますか?フォーマルな場に適したベルトや靴のデザインを知っていますか?知っているようで、実は知らなかった大切な基本があるものです。 もちろん、既に装いに詳しい知識のある方もいらっしゃるでしょう。
そういう方は、ぜひご自分の知識の再確認のために本書を活用していただければと思います。 日本では、洋服の歴史が浅く、また「男は見たじゃない」という文化的な背景も大きいため、外見に気を配ることを恥ずかしく思う人も少なくありません。

もちろん、見たばかり立派で中身がないのは本末転倒です。 しかし、あなたが高い能力と豊かな知識、そして素晴らしい人間性をお持ちであるならば、それを効果的に相手に伝えられる外見を、ぜひ身に付けてください。
そして、今よりももっと広い世界に飛び出すチャンスを手に入れ、ご自分の可能性を十分に生かしてほしいと願っています。 本書が、あなたの成功のために役立てば幸いです。
ビジネスの現場では、様々な人との出会いがあります。 多くのお客様と会う営業マンはもちろんですが、そうでなくても取引先の方や、社内の上司、部下など、たくさんの人との関わり合いの中で、あなたのビジネスは動いているはずです。
そうした人間関係の中で、非常に重要な意味を持つのが、「第一印象」です。 初対面で挨拶し、名刺を交換する。
時間にしたら数秒から数十秒の聞に、既にあなたは相手に対して何らかの印象を抱き、相手からも抱かれています。 これが第一印象です。
米国UCAの心理学者アルパトメラピアン博士は、第一印象が決まる時間を「三秒1一O秒」と説明しています。 他にも六秒説、七秒説、二O秒説など、様々な説がほかの研究者からも挙げられていますが、いずれにしても出会った瞬間から、初対面の挨拶を一言交すくらいしかできないわずかな時間で、第一印象は決定してしまうのです。
そして、良くも悪くも、この第一印象で作られたイメージを作り直したり覆すには、多大な労力と時間を要します。 良いイメージを持たれた人間と、悪いイメージを持たれた人間。
どちらの方がビジネスの現場で有利に動けるか、考えるまでもありませんね。 第一印象は、ビジネスの世界で勝ち残るための、重要な要素なのです。

外見は「あなた」が何者かを示すパッケージでは、この第一印象を良くするには、どうすればいいのでしょうか?その決め手は「外見(見た)」です。


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